3月10日、川俣町中央公民館大ホール。
午後7時前から、幼稚園から大人までの山木屋太鼓のメンバーがステージに集まり、誰に言われるともなく太鼓台を組立てるのが練習のはじまりです。5月6日に福島市で開催される自主公演を前に会長であり、プロの和太鼓奏者である遠藤元気さんにお話を伺いました。
川俣町の山木屋地区では、昔から盆踊りの太鼓があり、それを伝える「山木屋やぐら会」の親子組織として2001年に山木屋太鼓クラブが結成され、私も14歳から参加。メンバーの成長に伴い2008年に「山木屋太鼓」と改名しました。
2011年の震災時、山木屋地区は川俣町で唯一の避難指示地区として指定されました。(2017年3月末に解除)音の大きい和太鼓の練習場所を確保することは大きな課題でした。そんな中でも練習を続け、2012年に多くのご支援のおかげでワシントンD・Cの桜まつりで演奏を披露する事ができました。
当時私は福祉施設で仕事をしていましたが、震災を経験した事で「人生いつ何が起こるかわからないなら、自分のしたいことを思い切りやろう」と退職。
2013年からプロの和太鼓奏者としてソロ活動を始め、同年には、ジャパンブロックフェア・ニューヨーク福島祭に参加しました。翌年2014年に山木屋太鼓の会長に就任し、会の運営とソロ活動との両方を行っています。
19歳から始めた太鼓の作曲は山木屋太鼓以外のものも含めると20曲以上を数え、講師のひとりとして参加していた相馬高校の太鼓部の為に書き下ろした「相武伝来」は2020年にアニメ「ハイキュー!!」にも使われました。
震災後から山木屋地区の子どもが減り、生活環境の変化もあって新規入会する子どもがいなくなってしまった中で取り組んだのが、川俣町の教育委員会に働きかけて町内の保育園・幼稚園に出向き、太鼓の体験活動を始めたことです。「太鼓の楽しさと面白さ」に触れて欲しいと願って活動を続けるうち、徐々に入会する子どもが増え、現在は町内外含め17人の子どもが大人会員と共に世代交流をしながら活動しています。山木屋太鼓の曲は「口伝(くでん)」で教えるのが中心で、大人会員が自然と講師になっているのがいい雰囲気ですね。
現在は南相馬市の原町第一小学校でも和太鼓の指導をしています。ソロ活動や他の団体での指導の経験は山木屋太鼓の運営にも活かされ、良い還元になっていると感じます。震災後も山木屋在住にこだわるのは、「故郷」が自分達の太鼓のテーマだから。それはずっと変わらないと思っています。
自主公演情報 P.5参照
読プレ P. 9参照
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